好きの海に溺れそう
幼なじみは終わりだよ
~杏光~

海琉に会いたい…。



そんな風にすぐ考えてしまうほど、あたしの中で海琉の存在は知らぬ間に大きい。



昨日会ったばかりなのに…。



夏樹と別れた次の日の今日。



自分で別れを切り出したものの、一年付き合ってきた人と別れたこと、その人を傷つけたことにそれなりにショックがあって、昨日はあれからなんにもできなかった。



一度決めたらすぐ行動するあたし、今日は動くよ…。



朝の10時。



髪の毛を丁寧にとかして、顔にはうすーく化粧。



ちょっとかわいい部屋着に着替えて、いつもと同じだけどいつもより少し可愛くなった部屋着スタイルのあたしになって、隣の家に行った。



「海琉~」

「杏光、朝からどうしたの?」



海琉は自分の部屋で宿題してた。



えらいじゃん。



「今日、バイト何時?」

「12時から20時までだよ」

「今日ごはん食べに海琉のバイト先行くから覚悟しといてね」

「はいはい…」



それだけ言って、海琉の宿題の邪魔をしないように家に戻った。



それから、部屋着からラフな私服に着替えて玖麗の家に向かう。



玖麗には全部話しときたいんだ。



玖麗もあたしの大事な幼なじみでありいとこであり親友。



玖麗の家のインターホンを押して中に入ると、玖麗は一人でのんびりとテレビを見てた。



「玖麗ー」



後ろから抱きつく。



「わっ、びっくりしたぁ~…」

「ね、暇?」

「見ての通り…。悠麗と遊ぼうと思ったんだけど彼女といるし、杏光に電話しても出ないし、海琉はバイトっていうし…」



え、電話?



スマホを見ると、着信が一件。気づかなかった…。



「ごめん」

「いいよ~」

「海琉、12時かららしいからあとで海琉のバイト先一緒に行こ」
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