好きの海に溺れそう
「そうなんだ…。その顔は本気なんだね…」

「うん…。自分でも悔しいけど。好きになっちゃったらしょうがないよね」



あたしはそう言ってメニュー表を見た。



「あたしこのセットにする」

「あ…。じゃああたしも」



玖麗はメニューを考える余裕がないみたいだ。



店員さんを呼んだら海琉が来た。



「本当に来てくれたんだね」

「うん。このセット二つ。ね、バイト終わったら迎えに行くから今日夜ご飯作ってね?」

「…ん?」

「いいから仕事戻れ!」



海琉が行ったあとに、玖麗があたしに話しかける。



「すごいね…。もう約束取り付けちゃったの?」

「まあ約束っていうか押しつけただけだけど…」



玖麗がため息をついて、小さく「あたしには真似できないなあ…」と言った。



「人生って1回しかないんだから、まごまごしてる時間もったいないでしょ?」



だからあたしは、したいと思ったことはすぐにするんだ。



海琉に料理を運んでもらい、それを食べてから玖麗の家に帰った。



「玖麗も可愛くて良い子なんだからもっと自分に自信持っていいんだよ?」



あたしがそう言うと、玖麗は首を横に振った。



「可愛くないよ…」



玖麗はそう言ってから、真剣な顔でこっちを見た。



「あのね…。実は隠してたことがあるの…」

「ん?」

「本当はずっと隠すつもりだったんだけど、杏光が話してくれたからあたしも言う…」

「ん? なにを?」

「あた…しは…」



顔を真っ赤にして、玖麗はゆっくりと話す。



「悠…麗が好き…」



え!? え!?



「はああああ!?」
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