好きの海に溺れそう
なになになに!?



理解できないよ!?



「そういう…ことですので…」

「どういうこと!? 待って!? いつから!?」

「生ま…れた時から…?」



何それ!?



ああ、でも確かに昔から玖麗は悠麗のこと大好きだったよね。



思い返せば、思い当たる節はたくさんある。



幼稚園のルールで、手をつないで横断歩道を渡らないといけなかったとき、玖麗は必ず「悠麗と手をつなぐ!」って言ってたような覚えがある。



学年は違ったけど、そんな話しをよく聞いてた。



納得…。



「こんな叶いっこない気持ちを…人に言っていいものかわからなかったんだよね…」

「なんで叶わないって決めつけるの?」

「だって…いとこだし…。恋愛対象外でしょ?」

「いとこだって結婚できるじゃん」

「け、結婚!?」



まあ結婚は大げさだけどさ…。



はじめから決めつけることないのに。



玖麗の性格上そう思っちゃうのはわからなくないけど…。



「どうするかは玖麗の自由だけどね?」



みんな、それぞれの想いがあるんだな…。



夜になって海琉のバイト先まで1人で歩いた。



カフェにつ着いて、お店の外で少し待つ。



「おつかれさまでしたー」



裏口のようなところから、海琉が出てきた。



「海琉、おつかれ」

「杏光だ。ねえ、俺がご飯作るってどういうこと?」

「今日お母さん帰り遅いんだもん。海琉料理得意でしょ?」



海琉と少しでも一緒にいたいんだもーん。



夜道の暗い中。



歩いているのはあたし達と、少し前にいるカップルだけ。



「昨日、彼氏と別れたんだ」

「えっ、そうなの?」

「あたしから振ったんだけどね? 好きな人ができまして」

「そうなんだ。誰?」
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