好きの海に溺れそう
~杏光~

海琉に、告白した。



海琉のいい幼なじみでいたいわけじゃない。



彼女になりたい。



でも、海琉があたしのことをただの幼なじみとしか見てなかったら、そんなの叶わない夢だから。



今の関係が崩れるのも覚悟で、あたしは好きだという言葉を口から出す決心をした。



あのとき、あのタイミングで、言うつもりなんてなかったけど…。



海琉の手があたしの腕に触れたとき。触れた肌の熱さ。



それがあたしの中の好きだという気持ちを一気に溢れさせてしまったんだ。



海琉は多分…しばらく受け入れられないと思う。



恨んでるかも…。



それでも、そうだとしても。



幼なじみという関係がこのまま続くのがあたしにとってとてもつらかった。



どうしてこんなに好きになったんだろう…。



今までの恋とは違って、相手が海琉だからずっとずっと特別で。



頑張るしかないよね…。



でもその想いもむなしく、海琉とは2週間会えなかった。



海琉があえて避けてるのか、偶然なのかはわからない。



偶然だったら、神様ってひどい…。



海琉にすごく会いたい。



でも、幼なじみに自分から終止符を打っておいて、自分から海琉の家になんて行けない。



会いたいな…。



自然とため息が出る。



すごく苦しくて、ため息でしかその苦しみを体から外に放出できない。



だけど外に出した瞬間、その外に出た苦しみの分の隙間を埋めるようにまた苦しくなる。



だから気を紛らわそうと、最近会ってない日夏に会うため、日夏のバイト先に来た。



日夏のバイト先は学校の近くだから歩いていける距離にある。



日夏がバイトしてるファミレスに行くと、店内は空いていた。



16時だからちょうどお客さんが少ないんだ。
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