好きの海に溺れそう
海琉とパスタとハンバーグを分け合う。



最初ちょっと不満そうな顔をしてた海琉だけど、結果的には「どっちも美味しかった〜」と満足げだったので私も満足だ。



不満そうな顔まで可愛いのが憎たらしいところだけど。



「あたしの選択間違ってなかったでしょ?」

「横暴だけどね」



海琉むかつく…。



「俺バイトしようかなと思ってるくらいお金ないからね!」

「あー、メイドカフェとか? 海琉似合いそうだよね、猫耳とか」



こんな風に言い合うのはいつものことだ。



あたしたちはだいたいいつもこんな感じ。



喧嘩とも言えないような喧嘩を繰り返して、お互い仲良しだ。



「ただいま」



隣に住んでいる海琉と家の前で別れて帰ったら、まだ玖麗がいた。



「お母さんは?」

「母さんは玖麗ん()行った」

「なるほどね。どうせ実咲(ミサキ)ちゃんとドラマの再放送見てるんでしょ」



実咲ちゃんは、玖麗のお母さん。つまり、あたしの伯母さんにあたる。
< 5 / 350 >

この作品をシェア

pagetop