好きの海に溺れそう
そこまで言ったとき、日夏が来た。



そして驚いた声を出す。



「えっ、なに、杏光の好きな人って海琉くんなの!?」

「そうだよ…」

「対象外じゃなかったの!?」

「対象内になっちゃった…」



日夏は驚きながらも注文をとった。



「ドリンクバーとケーキ1個」

「俺もドリンクバー。あと、このサービス券のサラダ」

「かしこまり~」



日夏は、あたし達の注文を聞いてすぐに行ってしまった。



「サービス券なんてどうしたの」

「ここ通い過ぎてたらこの店の人がくれた。貧乏学生としてはありがたいよな」

「歩っていくつなの?」

「大学3年。21だよ。そっちは?」

「あんた日夏のこと好きなのに日夏の年齢知らないの!?」

「だって日夏に聞いても教えてくんねえんだもん」



さすが日夏…。



ガードが堅いのかなんなのか。



それからも歩と色々と語って盛り上がった。



しばらくしたら、少し混み出したので、あたしは帰ることにした。



もう少し残るという歩と、仕事を頑張ってる日夏に別れを告げ、ファミレスの外へ。



海琉に会いたいという気持ちを紛らわすつもりが、歩と話したら逆に会いたくなっちゃった…。



「海琉に会いたい…」



言いながら、つい足元の石を蹴ってしまう。



その瞬間、「いっ」という声がした。



声の先を見てると…。



「海…琉…」



なんで海琉がいるの…?



驚きと嬉しさで心臓の動きがはやくなる。



「杏光…?」
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