好きの海に溺れそう
海琉はすごく気まずそうな顔で。



てかそんなことより!!



「海琉大丈夫!? って、血出てる! ごめん!」



あたしが蹴った石で海琉の足からかるーく血がにじんでる。



あたしそんな強く蹴っちゃったの!?



「杏…光?」

「なに? てか本当にごめん、大丈夫!?」



急いでカバンから絆創膏を出した。



持っててよかった…。



「とりあえずこれ!」

「大丈夫だよこんくらい…」

「いいから!」



無理矢理海琉に貼った絆創膏。



これでマシになればいいけど…。



(あとから考えたら、水で流してもないのに絆創膏貼っちゃだめだなと気づいて反省した)



「海琉、こんなとこで何してんの?」

「今日バイト終わるの早かったから、バイト用の靴勝ってきたの…」

「そっか。じゃあ…あたしはこっちから行くから…」



あたしは帰り道と逆方向に身体を向けた。



海琉と帰りたいけど、きっと海琉は気まずいだろうし…。



顔に出てるもん…。



「…待って杏光」



歩き出したあたしに、うしろから海琉が呼び止める。



「な…に…?」

「どこ…行くの?」

「家…です」



なんとなくぎこちない会話。



自分で決めたことだけど、やっぱり悲しい。



後悔はしてないけど…。



「じゃあ…一緒に帰ろ?」



海琉が言った。



え…?



海琉の言った言葉が信じられなかった。



一緒に…帰ろ…?
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