好きの海に溺れそう
「ねえ暇」
「知らね」
「玖麗といちゃってんじゃねえよ」
「いちゃってねえよ! 俺彼女いるし」
「昼麻ちゃん? あの子かわいいよね~」
悠麗は、中学のときから付き合ってる彼女がいる。
その子が昼麻ちゃんなんだけど、昼麻ちゃんと玖麗は少し似てる。
「あんた達お昼は?」
「そういやまだ食ってねえわ。玖麗どうする? うちで食べてく?」
「じゃあそうしようかな」
…ん? この空気は、あたしに料理を作れと言われる気がする…。
案の定、あたしが逃げる前に悠麗に作れと言われた。
自分で作ればいいのに…。
「あたしもう食べてきたし悠麗が作りゃいいじゃん」
「あー、海琉とデートしてきたからねー」
さっき、この2人からは冷やかされないって言ったけど、訂正!
こういう憎たらしいときだけわざとそういう風に言ってくるんだ、こいつは。
あたしが、「デートじゃない」と言おうとしたら、その前に悠麗が「いいこと思いついた」と遮った。
「海琉に作らせりゃいいじゃん」
それはナイスなアイディアだ。
海琉は昔から料理が上手なんだ。
隣の海琉の家に行ってみた。
「海琉ー。いいもの見せてあげるからあたしの家来なよ」
「何それ…。怪しいな…。別にいいけど」
少し警戒しながらも家にやってきた海琉に、早速料理を作らせた。
海琉はあたしのことを睨んだけど、黙って言う事を聞いた。
うん、良い子に育った。