好きの海に溺れそう
色とりどり
~杏光~

海琉と付き合って1ヶ月が過ぎた。



1ヶ月なんてあっという間で、あたし達は今日もラブラブです。



いつも通り二人で帰る帰り道。



お互いなんとなく繋いでる手は順調の証し。



絡んだ指がたまらなく愛しい。



キスは数えられないくらいした。



だけど全部あたしから。



分かってたけど、待たせすぎだよ…。



「そうだ、杏光」

「ん~?」

「明日は土曜日です!」

「はい?」

「何と、俺、バイトがありません!」

「ほんとに!?」



すっごく嬉しいんだけど!



実は、まだデートをしたことがない。



テスト期間と被ったり、赤点常連組の海琉の補習があったり、海琉のバイトがあったり…。



とにかくタイミングが悪かった。



「待たせてごめんね?」

「しょうがないじゃん。いいもん明日行けるから」



それに毎日ずっと一緒にいるし。



それだけで充分幸せだ。



海琉はにっこりと笑った。



「水族館のとこでやる花火、明日やるから行こ」

「行く!」



海琉と二人だけでそんなザ・デートスポットみたいなところに行くなんて、昔じゃ考えられなかった。



その水族館は、遊園地もついている大きなテーマパークだ。



そこで、季節関係なくたまに花火をやってる。



「浴衣着てきてほしい~?」



そう言ったら、ちょっと照れたような海琉が「見たい」って言った。



絶対着てくる…。



「杏光ちゃんの可愛さに倒れないでよ?」

「倒れない」

「倒れろよ!」
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