好きの海に溺れそう
案内された席に座ると、杏光が何気ない素振りで言った。
どことなくちょっと拗ねてるっぽい。
確かに綺麗だけど、杏光以外興味ないのに…。
そのとき、お皿の割れる大きな音がした。
その音の方を見ると、キッチンの出口のそばで、松尾さんが「申し訳ございません!」と慌てた。
「あ、あの子…」
杏光が松尾さんを見てつぶやいた。
「知ってるの?」
「ううん、なんでもない。学校同じ…だよね?」
「そう、俺と同じ学年」
杏光は「そっか」と言って、メニューを開いた。
学校一緒だし、見覚えがあったのかな。
「杏光、このアボカドのサラダおいしいよ」
「あ、ほんとに?じゃあそれ」
「杏光に食べさせたかったの」
「きゅん…」
きゅんって…。
他にいくつかおすすめの料理を決めて、ホールに出ていた松尾さんを呼んだ。
「杏光先輩とデート?いいね」
「混んでるときにごめんね?」
「ううん!大丈夫!」
注文をして、松尾さんが行ったあと、杏光は水のコップの氷をカラカラ回しながら、ぽつんと口を開いた。
「みんな、海琉のこと見えなくなっちゃえばいいのに…」
なにそれ…。
突然の杏光のヤキモチに、心がきゅんとなるのを感じた。
「またヤキモチモード?」
「嫌い?」
「ヤキモチの杏光かわいい」
なんか今日は素直になんでも言える…。
杏光もそう思ったみたいで、
「海琉、こういうの照れなくなったの?」
と意地悪げに聞いた。
「今日は気分あがってるからかな…」
俺がそう言うと、杏光はへらっと笑った。
二人でごはんを食べてから、色んな話をして家まで歩く。
「今日は、海琉からはじめてキスされた日」
手をつなぎながら歩いていたら、杏光が嬉しそうにその手をぶんぶん振りながら俺に笑いかけた。
ちょっと照れながら笑顔を返すと、俺の手を少し引いて、道ばたで杏光が一瞬だけキスをした。
杏光との思い出が詰まった夏は、ゆっくりと過ぎていった。
どことなくちょっと拗ねてるっぽい。
確かに綺麗だけど、杏光以外興味ないのに…。
そのとき、お皿の割れる大きな音がした。
その音の方を見ると、キッチンの出口のそばで、松尾さんが「申し訳ございません!」と慌てた。
「あ、あの子…」
杏光が松尾さんを見てつぶやいた。
「知ってるの?」
「ううん、なんでもない。学校同じ…だよね?」
「そう、俺と同じ学年」
杏光は「そっか」と言って、メニューを開いた。
学校一緒だし、見覚えがあったのかな。
「杏光、このアボカドのサラダおいしいよ」
「あ、ほんとに?じゃあそれ」
「杏光に食べさせたかったの」
「きゅん…」
きゅんって…。
他にいくつかおすすめの料理を決めて、ホールに出ていた松尾さんを呼んだ。
「杏光先輩とデート?いいね」
「混んでるときにごめんね?」
「ううん!大丈夫!」
注文をして、松尾さんが行ったあと、杏光は水のコップの氷をカラカラ回しながら、ぽつんと口を開いた。
「みんな、海琉のこと見えなくなっちゃえばいいのに…」
なにそれ…。
突然の杏光のヤキモチに、心がきゅんとなるのを感じた。
「またヤキモチモード?」
「嫌い?」
「ヤキモチの杏光かわいい」
なんか今日は素直になんでも言える…。
杏光もそう思ったみたいで、
「海琉、こういうの照れなくなったの?」
と意地悪げに聞いた。
「今日は気分あがってるからかな…」
俺がそう言うと、杏光はへらっと笑った。
二人でごはんを食べてから、色んな話をして家まで歩く。
「今日は、海琉からはじめてキスされた日」
手をつなぎながら歩いていたら、杏光が嬉しそうにその手をぶんぶん振りながら俺に笑いかけた。
ちょっと照れながら笑顔を返すと、俺の手を少し引いて、道ばたで杏光が一瞬だけキスをした。
杏光との思い出が詰まった夏は、ゆっくりと過ぎていった。