好きの海に溺れそう

うっさいな…。



グラウンドの中心では女子100m走をやってる。



「おー速い速い」



あたし達のクラスの女子はぶっちぎりトップ。



なんてったって陸上部のエースだからね…。



「海琉何出るの？」

「男子200mとカラー対抗リレー」

「えっ？ リレー出るなんて言ってた？」

「選抜の一人が怪我して出られないって」

「補欠かよ…」

「そうだよ…」



まあ海琉も何気に足速いからなんとかなるね。



「じゃあ俺200mで行かなきゃだから行くね？」

「うん。がんばれ」



一番いい場所で見よ～。



海琉と別れて日夏と席を取りに歩いてたら、一般客の席のところから「日夏！」という声がした。



見ると歩。



恐ろしい行動力…。



「歩、一歩まちがえたらストーカーだよ…」

「だって日夏が来てもいいって言うんだもん」



日夏が！？



日夏を見ると不機嫌そうな顔。



「来てもいいなんて言ってないじゃん。次の土曜日に体育祭あるって言っただけ」



でも日夏がそんなこと言うってことは裏を返せば来てもいいってことだよね。



このツンデレめ。



「てかそろそろ連絡先教えてくんね！？」

「は！？ あんらまだ交換してないの！？」

「日夏が教えてくれねえんだもん…」



ガード堅…。



でも体育祭の日を教えたってことは日夏もまんざら歩を嫌がってるわけじゃないんだよね？



「なあ日夏～」

「うるさいな。じゃあ言うから一瞬で覚えてね」

「はい！？」

「××××_0000」