好きの海に溺れそう
「ばっちり見てた! 超かっこよかった!」



周りの目も気にせず、海琉にぎゅーっと抱きついた。



すんごく抱きつきたい気分だから。



「俺汗やばいから離れて!」

「気にしないもーん」



その隣で日夏は冷ややか。



離れればいいんでしょ離れれば…。



ぱっと体を離した。



「ほんとにバカップル…」



うるさ~い!



日夏を歩のところに送りつけて、あたし達は二人で別の場所へ。



日陰の中に座って涼む。



「悠麗、女遊びやめたみたい」



海琉の肩にもたれかかりながら空を見上げてつぶやいた。



「気持ち、落ち着いたんだね」

「うん。今日、玖麗誘って来るって」

「ゆっくりと関係修復できるといいね」



青空の下。



あたし達の時間は穏やかだ。



あたし達の前を、二人の女の子たちが通り過ぎた。



こっちをちらちら見ながら何か話してる。



「あの人たちでしょ? 幼なじみの…」

「いっつもイチャイチャしてるよね」



聞こえてるって。



てかあたし達って軽く知られてるの?



海琉の方を見ると、海琉は照れたように少し笑った。



海琉が口を開く。



「今度さ、二人でどっか泊まりに行こっか」

「え?」



海琉がにっこり笑った。



「杏光と二人だけでゆっくりしたい。…だめ?」

「だめなわけない! 絶対行く!」



嬉しい…。



「なんか…心臓破裂しそう…」

「え?」



こんな海琉にべたべたしてるけど、あたしだっていつもドキドキしてるんだよ。



好きなんだもん…。
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