怖い話特集
そのトンネルは通りのすぐ脇にあったにも関わらず、何故だか誰も立ち入らない。

従姉妹がトンネルから外を眺めていても通りを歩く人たちは一度も気づかなかった。

また、そこにいるといつも時間が早く過ぎるようで、日暮れを告げる市役所のチャイムをうっかり聞き逃すことも珍しくなかった。

ある日、トンネルの壁にもたれ掛かりうとうとしていた従姉妹は、どこからか話し声が聞こえるのに気づいた。

身体を起こすと何も聞こえなくなる。

不思議に思いながら、壁に寄りかかると再び声が聞こえた。壁に耳を当ててみると、先ほどよりはっきり聞き取れるようになった。
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