怖い話特集
汗だくで目覚め、従姉妹はあることに気づいた。

私は夢の中で成長過程を辿っている。

始めは幼い頃、次は小学生、今は中学生だった。

もしかして、女は私の記憶を追ってきているのではないか。 

その仮説は正しかった。

眠るごとに夢の従姉妹は成長し、女は必ずどこかに現れた。

あるときは見上げた階段の上から、あるときは電車の向かいの席で、あるときは教室の隣りの席から。
 
従姉妹はここに至ってもうひとつの法則に気がついた。

女との距離がどんどん縮まっている。

今ではもう女の三白眼も、歯と歯の間で糸を引く唾液もはっきりと見えるようになった。 

従姉妹はなるべく眠らないように、コーヒーを何杯も飲み徹夜した。

しかしすぐ限界がくる。

女は、昼に見る一瞬の白昼夢にも現れた。

そしてとうとう現実に追いついた。 
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