怖い話特集
年末に祖母の家に来た時も、僕はやはり山に行った。

名前を呼ぶと、本当に女の子は来てくれた。

冬でも着物姿で寒そうだったが、本人は気にしていないようだった。

「どこに住んでるの?」

「今度僕のおばあちゃんちに遊びに来ない?」

などと聞いてみたが、相変わらず首を横に振るだけだった。

そんな風に祖母の家に行った時、俺はその女の子と何度も遊んで、それが楽しみで春も夏も冬も祖母の家に長く居るようになった。

女の子と遊び始めて三年目、俺が小二の夏のことだった。

「多分、もう遊べなくなる・・・」

いつものように遊びに行くと、女の子が突然言い出した。

「何で?」

「ここに居なくなるから」

「えー、やだよ……」 
引越しか何かで居なくなるのかなと思った。
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