怖い話特集
部屋の明かりは豆電球だけだったが、豆電球の赤さと無関係に女の顔は赤かった、まるで朱で塗られているかのように・・・

女は高村を見ると、見るからに醜悪な笑顔を浮かべ、部屋を出て行った。

しばらくして自然と金縛りが解けた高村は玄関へ行き鍵とチェーンを確認したが何かされた様子は無かった。

由美さんを起こして話そうかとも思ったが、見てもいない由美さんを怖がらせる必要は無いと思い、その日は毛布に包まって必死で忘れようと眠る事に努めた。

高村はいつの間にか寝ていたのかアラームの音で目を覚ました。

由美さんはまだ寝ていた、いつもなら自分より早く起きて出勤の為の用意をしてくれているのだが珍しくまだ眠っているようだ。

「疲れが溜まっているのかな?」

と考え、起こさずに身支度を整え高村は静かに家を出た。
< 52 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop