怖い話特集
高村はか細い声でこう言った。

「最近見えるんだ・・・昼間だろうが夜中だろうがあの女が・・・俺もう無理なのかもな・・・」

高村が周りを確認していた理由がようやく分かった気がした。

高村は女性を見ていたわけじゃない、女の怨念がいないかを見ていたんだ。

俺は空元気を出し高村を励まそうとした。

「大丈夫だって、話も眉唾だし、由美さんが亡くなって落ち込んでるのが原因なのかもしれないしな?

それにさ、もし何かあったらその拝み屋に頼めばいいじゃん」

高村は更に俯きながら呟いた。

「拝み屋は死んだよ、心不全だった、隣に住んでた女子大生も死んだ、それも心不全だ、そんな偶然あるか?」

俺は何も言えなくなり、それから一言も話す事も出来ず居酒屋を後にした。
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