逃がすもんか!





そんなあさみの忠告を無視して、私は財布のカード入れに入れたあの紙を取り出していた。



そして、こうして飲むことになったわけだけど、目的は佐田を知った上で、結婚の約束をどうするか決めるためだった。



でも、佐田が未成年であることを知った今、私の中で佐田は無しだ。犯罪。結婚はできる歳とはいえ、19歳の男の子と腕を組んで歩くなんてしたくない。



「松野さんは住むならどこに住みたいですか?」



私の考えを悟りもしない佐田は、早くも結婚生活の相談を持ち掛けている。



「ごめん。私、あなたとは結婚できないかも。」



「『かも』ですか? なら、いいですよ。結婚を約束しても不慮の事故死で結婚できないなんてこともあると思いますし。」



佐田は、あさみの弟だろうか。どうしてここまでポジティブな思考ができるのか。それはきっと、佐田は佐田自身に自信があるからだろうと思う。ポジティブ思考な人はそういう人が多い。あさみ然り。



だからこういう人にははっきりと言わなきゃいけない。「私はあなたとは結婚なんてできません!」って、力強く。




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