逃がすもんか!
でも、今の私はどうだ? 酔っていたとはいえ、妥協して妥協して、その結果、未成年に結婚を迫ってしまった。
きっと周りは、「お互い好きならそれでもいいんじゃない?」とか、もっとウザい人になると、「そこに愛があればいいんだ。」なんて言うだろう。大きなお世話だし、私はそんな周りがするような普通の結婚なんてしたくない。
運命を信じていれば、運命はやってくる。頭の中お花畑で、私は29年間生きてきたのだ。
「松野さん、暑くないですか?」
パワーウィンドウを開けて、タバコを吸いながら右折をする佐田は、私に横目で訊いた。
「大丈夫。ちょうどいいよ。」
私はカーナビを見ながら、ナビ通りに右折したことを確かめ、次の右折ポイントを確認した。しばらく道なりで、まだ先だということがわかると、さっき寄ったコンビニで買った缶コーヒーを一口飲んだ。