逃がすもんか!





しらす丼は、本当に美味しかった。



いや、美味しいのは当たり前なんだけど、より美味しいというか、本当に美味しいお店というのをわかっているようだった。



「前にも来たことがあるの?」



「ロケの時来たことがあって、美味しかったから連れて来てるんですよ。」



佐田は、グレーのタンクトップの上に七分袖のシャツを羽織っていた。下は、短パンにサンダル。なんか、おしゃれだと勘違いしている大学生-夏.ver-って感じ。



ん? ロケ?



「ロケって、どういうこと?」



「ああ、実は……。」佐田は待ってましたと言わんばかりに目を輝かせた。



「実は、鍼灸師の勉強をしながら、役者も目指してるんですよ。自主映画を撮りに鎌倉まで来たことがあって、その帰りにここに寄ったんです。」



へえー、意外と学生ライフを満喫してるんだ。悪くないかも、そういうライフ。若い時にしかできないし。




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