逃がすもんか!
佐田の舞台は、本当につまらない。
クソつまらない。
何がつまらないのか、考えることもつまらない。
退屈だ。有名なハリウッド俳優が主演してるから何となくで観に行った、ドンパチものの映画くらい、退屈だ。
ストーリーがつまらない。キャラもとっ散らかって、「え? こいついる?」みたいなやつまでいる。役者のセリフは大根だし、おまけに会場のライトが点いたり、消えたりをもう20回くらいは繰り返してる。
こんな舞台が6500円もするから、これほどまでにぼったくりな世界があるのかと、逆に感心したものだ。
ただ、頑張っている佐田の姿を私は初めて見た。雑学をひけらかしてみたり、お会計の時にバッテンしてみたり、ドライブで下調べしてみたり、大人のものさしに届くように背伸びをしていた佐田しか見たことがなかった。
そして、そんな佐田を見ながら内心、笑い過ぎて腸がねじれて、ソーセージができたり、その自家製ソーセージ食べ過ぎて気持ち悪くなったりしていた。
しかし、舞台で一生懸命になる佐田を見ていると、笑えなかったし、気持ち悪さもなかった。あの姿で、今までどれくらいの努力をしてきたのか、感じることができた。
そんな佐田を、私は初めてカッコイイと思えた。