逃がすもんか!





本当は気づいていた。佐田の浮気に。



なんとなく連絡が少なくなっていたことも理由の一つだけど、遊びに行った時に、ベッドの下に、知らない誰かが、私に宛てたヘアピンが落ちて……いや、置いてあった時から何となく気づいてはいた。



佐田には言わないで、私に宛てられたヘアピンは、見なかったことにした。



私のマーキングを、このヘアピンをくれた人はどういう気持ちで見ていたのだろう。どういう気持ちで、私のマーキングが入った男に抱かれたのだろう。



想像すると、私の方が条件がいい気がして、勝ったと思った。でも、結局現実は、ヘアピン女の勝利で終わったのだ。



……終わった? いや、終わらせない。



終わらせてたまるか!




< 47 / 50 >

この作品をシェア

pagetop