逃がすもんか!





「佐田くん……結婚の約束は、そう簡単に破れるものじゃないんだよ?



浮気は男の甲斐性だもん。結婚したって浮気はあると思う。その度に私は悲しむよ?



でも、その度に許すの。それが夫婦ってものなんだよ。



だから、佐田くんの今回の浮気ももちろん許してあげる。でも、一つだけ許さないこと。



それは、別れるってこと。



私、佐田くんのことが好き。大好き。だから、離れたくない。逃がしたくない。



結婚するまで、逃がさないから。



……重い? でしょうね。でも、そういうものなの。私は、そういう女なの。



だって、ここで逃がしちゃったら私、一生結婚できないと思うし。



佐田くんは大好きだけど、結婚してくれない佐田くんは嫌い。



佐田くんのことは嫌いになりたくない。だから、結婚する。



結婚することで、佐田くんのことを私は永遠に好きでいられる。



だから、そのつもりでいて? ああ、心配しなくていいよ。私が佐田くんを養ってあげるから。



佐田くんは佐田くんで自分の夢を追いかけていいよ。



……ホントはそういうこと言わない方がいいかなって思ったけど、浮気したおかえしだぞっ!



じゃあ、もう行くね。帰ったら電話する。」




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