逃がすもんか!
「私があなたに何かした?」
「昨晩、あなたは飲んでいる僕たちの席に乗り込んで来て、『すべらない話をしろ! つまんなかったらぶっ殺すから!』って脅してきたんですよ?」
そんなことを言ったのか? この私が? 見知らぬこの子に?
「それで?」
「それで、僕が話した話を聞いて、あなたが『気に入った! キミにお姉さんのヴァージンをあげよう!』って。で、『さすがにそれは……。僕、あなたと付き合ってもいませんし……。』ってやんわり断ったら……。」
「……断ったら?」
「『キミ、そんなに私と付き合うのが嫌なわけ? ならいいわ。結婚しましょ! 結婚なら文句ないでしょ? 結婚なんて結構なんて冷めること言ったら、殺すわよ?』って。それで僕は無理矢理、OKするしかなくて……。」
あとは大体、わかる。大方、私が彼を「家に入れろ!」と脅してタクシーに乗り込み、タクシーの中で眠ってしまった私をベッドに寝かしてくれたのだろう。