逃がすもんか!
「それで、どうしますか? 本当に結婚しますか?」
佐田は、タバコの火を消しながら言った。
「しない。私、キミのことタイプじゃないんだ。」
「自分から結婚の約束をしてきたのに……ですか?」
「そうよね。おかしいわよね。でも、ごめんなさい。私、昨晩の記憶なくて……。」
「言い訳……ですか?」私もそう思った。
「でも、まあいいです。僕、まだ学生なんでどのみち、結婚できませんし。」
「え? キミ、学生なの?」
私の中が、嫌な予感で満たされた。まさかとは思うけど、未成年じゃないだろうかという嫌な予感。でも、高校生ではないようだから、18歳は越えているだろう。高校生は、自分のことを「学生」なんて言わない。