ね?私って、暴虐でしょ?
「ふふふ……後8人」
グサッ…グサッ……。
「ふふふっ……後6人」
グサッ……ボキッ…。
「皆んな、皆んな、死んじゃえ…!」
グチャッ……。グチャッ……!
「後……1人…」
「うふふっ。あはははははははは…!」
「……は…!」
ゆ、夢か。……いつもの。
目の前に広がった、死体、血。包丁を持った、震える私の手。
もううんざりだ。あの日──花怜が死んだ、あの日からずっと。
何なのだろうか。私の皆んなに対する“殺したい”という気持ちの表れなのだろうか。それとも───。
いや、そんなはずない、だって花怜が───。
私はふと時計を見る。7時半を指していた。
「まずい、学校に遅刻する…!」
素早く着替え、玄関を飛び出した。
「今日もいない…」
前はいつもあったはずの車がない。あの日から、両親が家にいない事が多々あった。現実に向き合えていないのだ。
どこにいってるのかは分からない。死んだことにより、書く書類は山ほどある。それを知っての行動だ。
あれ?門が閉まってる…?
いつもは開いているはずの門がしまっていた。もしかして、遅刻したから?……いや違う。校舎内にも人の気配を感じない。
「あれ?花梨さん?」
そこには同じクラスの伊吹君がいた。……私服姿で。
「伊吹君、今日学校ないの?」
伊吹君は吹き出した。
「今日祝日だよ。もしかして、間違えて来ちゃった?」
私は首を縦に振る。顔が真っ赤に火照ってるのが分かる。
「花梨さんって、意外とおっちょこちょいなんだね。……可愛い」
伊吹君はそう言い、また笑う。
────ズキン。
胸が苦しい。なんだろうこの気持ち。
「じゃあ僕、友達と遊ぶ約束してるから、じゃ」
「うん。教えてくれてありがとう」
「明日は学校あるから気を付けてね」
「……分かってるってばっ」
伊吹君は笑いながら手を振り、去っていった。
私の心にあった、苦しい気持ち。それがどんどん強くなる。
……何なのかな。気になるけど、それを相談する相手すらいない。いつもなら皆んなが……。
悲しいな。突然周りの人がいなくなると、こんな気持ちになるんだ。
さっきの苦しい気持ちはきっと、そんな気持ちだった私に優しくしてくれた、温かい気持ちが、私にとって久しぶりだったからだ。きっと。
家に帰らないと。
お母さんやお父さんが心配──。……なんてしないか。両親は『花怜、花怜』って、いつもそうだった。今回のことも、私が死ねば、両親がああなることはなかったんだ。
……結局、私が悪いんだ。花怜が殺されたのも、両親がおかしくなっちゃったのも、全部。
もう嫌だ。こんな世界。結局、全部私がいなければ解決できたことなんだ。
はぁ。なんか、馬鹿馬鹿しく思えてきた。こんな生活。
学校、友達、花怜。全て馬鹿馬鹿しい。
生まれて来なければよかったんだ、私なんて。
私は目の前にある、学校の校舎を見た。そうだ、私が死ねばいい。今までの過ちを取り返すことはできない。しかし、これから起こるであろう過ちは止めることが出来る。
門をよじ登り、校内に入る。部活をやっている部もあり、少し賑やかだ。
校舎内に入り、屋上に行こうとした。が、屋上には鍵がかかっていた。屋上からは話し声が聞こえる。警察の人がいるみたいだ。
校舎内、制服、1人。状況は最悪だ。警察に見つかり、『なんでこんな所にいるんだ』なんて聞かれたら、一巻の終わり。
何とか校舎内からは出ることができたが、死ぬことはできなかった。学校位に高い建物なんて、こんな田舎にないし、微妙な高さで飛んで、痛い目を見るのは死んでもごめんだ。
私は諦め、家まで帰っていた時だった。
「花梨」
誰かに呼ばれた。この声、振り返らなくてもわかる。あいつだ。
グサッ…グサッ……。
「ふふふっ……後6人」
グサッ……ボキッ…。
「皆んな、皆んな、死んじゃえ…!」
グチャッ……。グチャッ……!
「後……1人…」
「うふふっ。あはははははははは…!」
「……は…!」
ゆ、夢か。……いつもの。
目の前に広がった、死体、血。包丁を持った、震える私の手。
もううんざりだ。あの日──花怜が死んだ、あの日からずっと。
何なのだろうか。私の皆んなに対する“殺したい”という気持ちの表れなのだろうか。それとも───。
いや、そんなはずない、だって花怜が───。
私はふと時計を見る。7時半を指していた。
「まずい、学校に遅刻する…!」
素早く着替え、玄関を飛び出した。
「今日もいない…」
前はいつもあったはずの車がない。あの日から、両親が家にいない事が多々あった。現実に向き合えていないのだ。
どこにいってるのかは分からない。死んだことにより、書く書類は山ほどある。それを知っての行動だ。
あれ?門が閉まってる…?
いつもは開いているはずの門がしまっていた。もしかして、遅刻したから?……いや違う。校舎内にも人の気配を感じない。
「あれ?花梨さん?」
そこには同じクラスの伊吹君がいた。……私服姿で。
「伊吹君、今日学校ないの?」
伊吹君は吹き出した。
「今日祝日だよ。もしかして、間違えて来ちゃった?」
私は首を縦に振る。顔が真っ赤に火照ってるのが分かる。
「花梨さんって、意外とおっちょこちょいなんだね。……可愛い」
伊吹君はそう言い、また笑う。
────ズキン。
胸が苦しい。なんだろうこの気持ち。
「じゃあ僕、友達と遊ぶ約束してるから、じゃ」
「うん。教えてくれてありがとう」
「明日は学校あるから気を付けてね」
「……分かってるってばっ」
伊吹君は笑いながら手を振り、去っていった。
私の心にあった、苦しい気持ち。それがどんどん強くなる。
……何なのかな。気になるけど、それを相談する相手すらいない。いつもなら皆んなが……。
悲しいな。突然周りの人がいなくなると、こんな気持ちになるんだ。
さっきの苦しい気持ちはきっと、そんな気持ちだった私に優しくしてくれた、温かい気持ちが、私にとって久しぶりだったからだ。きっと。
家に帰らないと。
お母さんやお父さんが心配──。……なんてしないか。両親は『花怜、花怜』って、いつもそうだった。今回のことも、私が死ねば、両親がああなることはなかったんだ。
……結局、私が悪いんだ。花怜が殺されたのも、両親がおかしくなっちゃったのも、全部。
もう嫌だ。こんな世界。結局、全部私がいなければ解決できたことなんだ。
はぁ。なんか、馬鹿馬鹿しく思えてきた。こんな生活。
学校、友達、花怜。全て馬鹿馬鹿しい。
生まれて来なければよかったんだ、私なんて。
私は目の前にある、学校の校舎を見た。そうだ、私が死ねばいい。今までの過ちを取り返すことはできない。しかし、これから起こるであろう過ちは止めることが出来る。
門をよじ登り、校内に入る。部活をやっている部もあり、少し賑やかだ。
校舎内に入り、屋上に行こうとした。が、屋上には鍵がかかっていた。屋上からは話し声が聞こえる。警察の人がいるみたいだ。
校舎内、制服、1人。状況は最悪だ。警察に見つかり、『なんでこんな所にいるんだ』なんて聞かれたら、一巻の終わり。
何とか校舎内からは出ることができたが、死ぬことはできなかった。学校位に高い建物なんて、こんな田舎にないし、微妙な高さで飛んで、痛い目を見るのは死んでもごめんだ。
私は諦め、家まで帰っていた時だった。
「花梨」
誰かに呼ばれた。この声、振り返らなくてもわかる。あいつだ。