プレゼント【前編】
放課後になり、みんなが教室から居なくなったのを見計らって漸く机の中の余計なものに手を触れた。

そっと取り出す。

A4サイズの茶封筒の表書きは【不幸のプレゼント】となっていた。

バカバカしい。

不幸の手紙なら小学校の頃に流行った記憶がある。不幸の手紙を貰ったら速やかに同じ内容の文章の手紙を五人に配らなければいけないとかそういった内容だったと思う。

記憶が曖昧なのは当時の私はまだ友達付き合いがあった頃なのでそういった不幸の手紙を貰うと言う事は無かったからだ。

いつの時代もそういった厄介なものを貰う役目はクラスに馴染めない存在すらも薄い子の役目。

そういった時だけ注目を浴び、突然の不幸の手紙におろおろと戸惑うその姿を群れの中に混じり遠巻きに当時の私は見ていたのだ。

それが今や手紙どころか不幸のプレゼントを貰えるようになるなんて。

校舎裏の焼却炉に投げ捨てて帰ろうと思った。初めからこんなもの無かったみたいに。

自ら好んで群れから離れているというのに少なからずこの様な物をもらい、多少なりともダメージを受けている自分に戸惑う。

早く処分してしまおう。なんなら教室の隅にあるゴミ箱に捨ててもいいんじゃないか?

机から立ち上がりそれを手に取ろうとした時、うっかり手元が滑り茶封筒を落としてしまった。

その瞬間、シャラ……とても美しい響きが耳に響いた。生まれて初めて聴く囁くようなソプラノが。

私はそれを拾い上げると直ぐには開封せず中身を確かめるように封筒の表面を丁寧に触ってみた。

どうやら、筒状の物が入っているようだ。

嫌がらせにしては随分、凝ってる事を。私は思い切って封を開けて見る事にした。こんなの子供騙しも良いところだと言い聞かせながら。

ゆっくり開封した所から中の物を取り出す。

万華鏡?

そして一緒に入っていた紙切れも取り出しそこに書かれてある文章をゆっくり読んだ。






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