プレゼント【前編】
一緒に入っていたメモにはそう書いてあった。

よくもまぁ、面倒くさい事を。それにこの注意書きにしても書き方がとても幼稚だ。きっとうちの高校の誰かが暇つぶしにやり始めた事なんだろう。

私は万華鏡とメモ用紙を茶封筒に戻すとそのまま教室を出て校舎裏の焼却炉へ向かった。

焼却炉まで来ると運の悪い事に用務員さんがいた。

「それ捨てちゃ駄目だよ。」

私の手元を見て先に言われたけど…この状況じゃ捨てれないか。

「えっと…、要らないものなんですけど」

「要らないものでも駄目なものは駄目だよ。この前から何回かその封筒を捨てに来る子がいるけどそれ、中に入ってるの不燃ゴミだろ?ここじゃ駄目だ。持って帰って家で処分しておいで。」

用務員さんはそう言うと焼却炉周りを箒で掃き出した。

困ったな。

用務員さんの掃除が終わる頃にもう一度捨てに来ようかと思ったけれど見たところ箒で掃き出したのも今みたいだし……

仕方ない。帰り道に通るコンビニで捨てるとしよう。

「すいませんでした……」

私が呟いた謝罪の言葉は箒で地面を掃く音に完全に消されてしまったようだ。用務員さんは私の方へ一度も振り向くことなく浸すら地面を掃いていた。

学校を出て帰り道にあるコンビニまで来て鞄から茶封筒を取り出す。店の前に並ぶ三つに仕分けされたダストボックスを見て縁が赤色の可燃ゴミと書いてある所へ放り込もうとした時、

「そういうのさぁ、最近多くて困るんだよね。ここね、家から持ってきたゴミは捨てちゃ駄目だから。ねっ?ほらここにも注意書きの張り紙してある。」

中からすっ飛んで出てきた店長らしき中年男性に注意されてしまった。

「中で何か買うので駄目ですか?」

「そういう事じゃないでしょ。ねっ?それに今時、そんな封筒に入った中身のよく分からないもの捨てられてもさぁ。」

「いえ、これ中身ーーー」

そこまで言いかけて止めた。

中身を言えば尚の事、捨てさせて貰えない。それに店長らしき中年男性はさっさと店内に戻ってしまった。

参ったな。

これ以上、ここにいても仕方ないのでひとまず家に帰るかと歩き出すもメモに書かれてあった事が急に気になり始め立ち止まる。

24時間以内って……まさかね。

一瞬浮かんだ馬鹿げた考えを押し込めると漸く家に向かい始めた。

ーーー本当だったらどうしよう

なんて馬鹿げた考えが二度と思い浮かばないくらい早歩きで帰った。






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