眠り王子が完璧に目覚めたら
翼は城の顔を見て困ったように微笑んだ。
「笑わないで聞いて下さいね。
私、和成にフラれてそれでも和成を諦めきれなくて、東京に来た時に和成の住む所を訪ねた事があるんです。
でも、結局はそこはもぬけの殻で、和成には会えなかったんですけど…」
城はさっきの和成の態度がまた頭に浮かんで来た。
今なら、またあのマンションに行き、一発殴る事だってできる。
「その晩だったかな…
東京に友達もいないし、話を聞いてくれる人を求めてウロウロしていたらある看板が目に入って…
早い話が、占いの人に見てもらったんです、自分の運勢を」
城はそのくだりには喰いついてしまった。
「何て言われた?」
翼は大きくため息をつく。
「コテンパンに言われました…
あなたがそこそこの美人で彼氏が簡単にできたとしても、あなたは必ずその男達にはフラれ続ける人生を送るでしょうって。
フラれ続けるって言われても本当にしっかりとつき合った人って和成だけだったし、でも、確かにフラれてるわけで、私ががっくり落ち込んでいたら、その人が一つだけ救いの話をしてくれたんです」
城はあまり気にも留めずにその話を聞いていた。
女の子は星占いとか姓名判断とかそういう物が好きな生き物なんだな、と…
「その人が、私には運命の人がいるって言うんです。
もし、満月が出ている夜に知りあったら、その人を絶対に離しちゃだめだって」