眠り王子が完璧に目覚めたら
翼と城は、翼の家に帰って来た。
玄関のドアを閉めた途端、城は翼を体ごと持ち上げる。
「室長、そんな急がなくても…
お腹が空いてるんじゃなかったんですか…?」
「この一週間、もう空き過ぎて死にそうだ…」
城は首元で笑う翼を横目で見てウィンクした。
「俺は翼を抱けるのなら、餓死してもかまわないよ…」
城は翼を優しくベッドに寝かすと、自分の欲望の大きさと激しさにたじろいだ。
落ち着け、ゆっくり優しくだぞ…
欲望が感情なのかは分からないが、こんなに理性までも飲み込んでしまうほどの飢えた感覚は初めてだった。
城はベッドに横たわる翼を目を細めて見る。
真っ白い透き通った肌、大きな目に長く伸びた首、そして胸元から覗く胸の膨らみにはめまいを起こしそうだ。
「翼、大切に優しく抱くからさ…
いい…?
お前が今すぐ欲しいんだ…」
翼は頬をピンクにして小さく頷いた。
それからの俺達は、もう獣と一緒だった。
何もかもがしっくりいく気持ち良さに、俺は翼の全身にしるしをつける。
翼の声も、体も、心も、全部俺のものだ…
俺の感情は翼限定で呼び覚まされた。
翼と一つになる事で、その感情は研ぎ澄まされ剣のように鋭くなる。
もう俺は前の生活には戻れない…
翼の胸の中で、溺れて死んでもかまわない…
俺はきっと翼と出会うためにこの世に生を受けたんだ。
だって、やっと初めて生きる価値を見出せたから…
そして、二人は朝まで抱き合いキスをした。