眠り王子が完璧に目覚めたら
城が勇気を振り絞って室長室に足を踏み入れた途端、応接セットに腰かけてる男どもが一斉に城を見た。
城はその光景を目にすると同時に、天井を仰いだ。落ちたメンバーは我先にと城の評価を聞きに来る。
これもいつもの慣例行事だが、今日の城は頭がいっぱいでその事すら忘れていた。
「あ、皆、すまん…
今日はこの後、出先に行く大事な用事があって、講評は午後からにしてもらいたいんだ。
俺の手が空いたら、小牧さんにこの順番通りで呼びに行かす。
そうしてほしい」
城の言葉に、皆、素直に従った。
翼に順番を書いたメモを渡して,皆ゾロゾロと室長室から出て行く。
城は全員が出たのを確かめると、室長室のブラインドを全部閉めた。
「室長、ダメですよ…
オープンにするって約束したじゃないですか…?」
「そんな約束、もう忘れた…」
城はそう言うと、立ち上がった翼を自分の胸に引き寄せ、力強く抱きしめる。
「…室長、ダメです」
真面目な翼は肩をすくめて離れようとする。
「3分だけだから…
結果はダメだったけど、翼の頑張りを褒めてあげたくて」
少しだけ肩の力が抜けた翼も城の腰に腕を回す。
「私は大丈夫です…
もっと勉強しなきゃって今は意気込んでるくらい」