眠り王子が完璧に目覚めたら
「その日はすごくいい天気で、窓がたくさんあるちょっと手狭な会議室で話し合いをしてたら、室長が、突然、そのお局様を凝視してこんな事を言ったの。
松下さん、頭のてっぺんに白髪が一本飛び出してますよ。
気になるからどうにかしてくださいって…」
私はギョッとした。
普通の大人の男の人ならそんな事は絶対言わない。
言うとしても、皆がいない場所でそっと教えるはずだ。
「それで、そのお局様は…?」
「すぐに席を立って出て行った。
そして、会議にはもう帰って来なかった」
そうでしょうよ…
私なら泣いてしまうかもしれない。
「でもね、ここからが室長の変わり者といわれるところで…
室長は気にする事もなければ、悪かったと思う事もない。
松下さんがいなくなろうが全く気にも留めない。
顔色一つ変えずに、普通にクールなままなの。
自分の得になる事しか興味がないし、人が喜んでいようが悲しんでいようがだから何?って感じ」
私と真逆だ…
「だから、室長に感情的なものを求めたら、バカをみるだけ。
感情のないロボットだと思った方が楽だということ」
なるほど…
「でも、抜群にイケメンだから、そのギャップに惑わされないことね」
イケメン…?
それでいてロボット人間?
一体全体、その室長ってどんな人なんだろう…?