眠り王子が完璧に目覚めたら



翼は室長からの突然のキスに、恥ずかしながらウットリ目を閉じていた。

年下の彼氏との付き合いが長かったせいか、キスにしてもセックスにしても自分がリードする事が多かった。
性格的に何でも口にするし気が強く見える反面、本当は甘えん坊でリードするんじゃなくてリードされたい人間だった。
室長のキスは、そんな翼の欲望を全てにおいてパーフェクトに満たしている。

でも、感情のないはずの室長が、何でこんなにキスが上手いんだろう…?




城は、必死に自分に言い聞かせていた。
もう止めなければ、翼が嫌がってしまう。
こんな最高のキスを翼が拒否するようになったら、俺は絶対に生きていけない。

城はひと息ついて翼から顔を離した。
翼の顔を覗いて見ると、思いの外、嫌がっているようには見えない。

大きな目をパチリと開けた翼は、こんなロマンチックなキスの後なのに、ビックリするような事を俺に聞いてきた。


「室長……
変な事をお聞きしますけど、室長って感情のない人間だと私は聞いています」


城はベッドに腰かけて、うんうんと翼の話を聞いた。


「それは間違っていない」


「感情がないから人ともつき合わないし、飲み会とかにも全然参加しないと…」


「感情がないのかどうかは俺にはさっぱり分からないけど、でも、これが俺にとっては普通だから」


翼は不審者を見るような目で城を見ている。








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