眠り王子が完璧に目覚めたら



翼は自分の性格にほとほと嫌気が差していた。

何となく…という曖昧な状況を良しとしない翼は、今までも自分が損をする場面がたくさん作り出した。
今だって、室長、あの素敵なキスをありがとうでいいはずなのに、何をそんなに質問しなきゃならないの?
でも、室長のキスは、私の思考を破壊するくらいに最高で強烈だった。


「誰か?は、大学の時の先輩、もちろん女性。
あと、いつか?は、色んな時、どこか?はその彼女の部屋が多いかな。
あと、なんだっけ?
何人と?は、二人だと思う」


翼は自分の中で芽生えた気持ちに戸惑っていた。
私は確実に嫉妬している。


「え? でも、人を好きになった事はないって…」


室長はもう一度、水を口に含んだ。


「ないよ。
でも、その彼女がそれでもいいからつき合ってって言うからさ。
だから、キスにしてもセックスにしても、一通りはつき合った。

それってダメな事?」


室長、正直過ぎます。
セックスの話まで聞いてません…


「ダメかは分からないですけど、愛がなくてもそんな事ができちゃうなんて…」


「できるよ。
ジョギングするのと一緒だから。
汗かいて、すっきりして、そんな感じじゃないかな…?」


さすがの私も絶句した。
室長にとって、キスもセックスもスポーツの一環なんだ…

戸惑っている私の背中を、室長は優しく抱き寄せた。


「ねえ、俺がベッドを作ったお礼は、もうキスで終わりなのか?」








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