眠り王子が完璧に目覚めたら



「土曜日か…?」


室長はがっくりうなだれている。


「今日は何曜日だっけ…?」


室長はカレンダーを探している。


「今日は火曜日です…
どうかしましたか…?」


今度はこの狭いソファでふて寝をし始めた。


「室長?」


翼がそう言って室長の顔を覗きこむと、顔を横に背ける。
翼は、ここまで拗ねる室長を可愛いと思ってしまう自分が意外だった。
年下の和成だって、こんな風に可愛いって思った事はない。
翼は何となく理由は分かっているけれど、あえてわざと聞いてみた。


「何か問題でもありますか…?」


室長は、ハァ~とかフゥ~とか、やり切れないため息ばかりついている。


「土曜日か… 長いな…」


翼は笑ってしまった。
やっぱり、室長の頭の中には私を抱く事しかない。

翼は優しく室長の手を握った。


「あっという間ですよ、室長…」


そんな事を言う自分が情けなかった。
別に今日、室長に抱かれたっていいじゃない…?
でも、私の変な所で生真面目な残念な性格は、やっぱりそれを良しとしなかった。


「俺は干からびて死んでしまう…」


室長の素直で正直な感情にもう笑ってしまう。


「干からびません。大丈夫です…」


室長はまた大きくため息をついている。


今日は眠る時、私から室長を抱きしめてあげよう…
逆効果にならない程度に…







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