眠り王子が完璧に目覚めたら
翼がベッドに寝転んで本を読んでいると、歯磨きをした室長はまたソファに座った。
翼は本を読むふりをして室長を見ていると、室長はソファの肘掛け部分に頭を載せて眠りにつこうとしている。
「室長、そんな所で寝ないで下さい」
翼はすぐに室長を迎えに行った。
「こんな狭いソファに寝たら、体が痛くなるし疲れも取れないですよ」
室長は何も言わないし、ソファから動こうとしない。
「いいんだ…
俺にとっては、翼の隣で寝る方が苦痛だから。
でも、そんな事言ったら、だったら自分の家で寝てくださいってなるだろ…?
だから、言わないし、俺はソファで寝る」
翼は何だかとても室長が可哀想になってきた。
「室長…
室長がどうしてもって言うんだったら、私、その時は…」
ソファに座っている室長は、翼を優しく膝の上に乗せた。
「いいんだ…
俺はほっとけば感情に支配されて、人間じゃなくて本能のままでしか動けない猿になってしまう。
後4日頑張ればいいんだ。
4日頑張るよ、俺はできる、きっと頑張れる」
翼は可愛くて可笑しくて、室長の事を包み込むように抱きしめた。
室長の顔は翼の胸元に沈み込んでいる。
「翼って、結構胸が大きいんだな…
もう俺は本当に幸せ者だ…
4日経ったら、すべてが俺もものになるんだから」
翼は可笑しくてまた笑った。
室長の私だけにしか見せないこの可愛らしさに、どんどん嵌まって中毒になっている自分がいる。