眠り王子が完璧に目覚めたら



土曜日になると、城は一度自宅へ帰って車で翼を迎えに来た。

和成の家は、都内の中でも翼の家と真逆の場所にある。
電車で行っても乗り変えなどでかなりの時間がかかるため、城はドライブがてら車で行く事に決めた。


「室長の車ですか?」


当たり前だ、レンタカーを借りてきたのかと思ってるのか??

城はあえて何も言わず、助手席に回り込み翼のためにドアを開けた。


今日の翼は最高にいい女だ。
おめかしのレベルは、雑誌に出てくるモデルを優に超えている。
きっと和成にこんないい女を捨てた事を後悔させたいのだろう。
その前に俺の方が、そんな美しい翼にいちころになっているけれど…


「私、東京へきてこんな風にドライブができるなんて思ってもなかった」


最近の翼は、俺に対して、ですます口調が少なくなってきている。
嬉しいことだ。


「何時頃に和成の家へ行く予定なんだ?
という前に、今日は土曜日だけどそいつは家に居るのかな?」


翼は黙っている。
こんな事、普通に考えれば分かる事だ。
だから俺は平日がいいと言ったのに。


「居なかったらまた出直します。
でも、居るかもしれないし行ってみなきゃ分からないでしょ?」



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