たった二文字が言えなくて

たった二文字

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「凜くーん、おはよ!」


「……はよ」



朝から俺の腕にまとわりつく、同じクラスの女の子。
名前は知らない。
一度だけ相手したことは覚えてる。



「今日は機嫌、悪い?」


「……別に」



俺はもうやめた。
来るもの拒まずってやつはもうやめた。



「今日の放課後遊べるー?」


「無理かな」


「え?」



俺がこうして断ることなんて今までなかったから。
すっごい目を丸くしてびっくりしてる。



「そういうのやめたから」



彼女が掴んでいた手を振りほどく。



「……え?」



その場で立ち尽くしてる彼女に構わず、教室へと向かう。



「凜ー!今日遊べるー?」


「凜ー!今日は?」


「凜くん!デートしたいな」



教室までの道のりでいろんな子に声をかけられる。
すべてに耳を塞ぎたかった。

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