たった二文字が言えなくて
「なぁ、今日凜が機嫌悪いって噂だぞ」



哲が俺の肩をポンって叩く。



「どうやったら、チャラくないって思ってもらえるかわかんなくて……」


「何の話?」


「静菜ちゃんがチャラいの嫌いなんだって」



俺は初めての恋をどうやったら成就できるのか。
そればかり考えていた。



「なんで坂口?」


「まずは、嫌われてる状況を改善しないとさ」


「は?まさか凜、坂口のこと……」



哲がすげぇびっくりした顔で俺を見る。



「びっくりしすぎだろ」


「いやいや、凜が恋なんて……俺、小学生の頃からみてるけど初めてじゃない?」


「そう、だな」



小学生の頃からずっと一緒の哲から見ても、やっぱり初恋だよな。



「しかし、すごいとこ行くよな」


「……え?」


「凜の彼女になりたい子なんて羨ましいぐらいいるのにさ、自分のこと好きじゃない子を選ぶなんてさ」


「はは、そうだよな」



自分でも本当に不毛なことしてると思う。
自分のことを好きな子から選べばいいのに。

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