たった二文字が言えなくて
「なによ、それ……」



いつも表情を変えないお姉さん的な静菜ちゃん。
そんな彼女を見上げればゆでだこのように顔が赤くなっていた。



「顔……赤」


「そんな高藤くんもでしょ」



顔を赤くしながらいつもの口調でいう静菜ちゃんに固くなっていた俺の顔も少し和らいでくる。



「こんなかっこ悪い告白でごめん。どうしても言葉にできなくて」


「でも、そんなんじゃ困るよ?」


「え?」



何が困るというのだろうか。
べつに日常生活に支障があるわけでもないし。



「付き合ってもそんなままじゃ、いつまでもまともにデートなんてできないわよ?」


「つ、つ、つ……」



付き合うっては誰と誰が?
もしかして、俺の静菜ちゃんが?



「イメージ全然違うんだけど」



なんて笑う静菜ちゃんにドクンと胸が高鳴る。



「これが俺だよ……」



静菜ちゃんの顔を見るのも恥ずかしくて、思わず彼女を自分の胸に引き寄せる。



「ちょ、高藤くん?」


「これなら話せる。顔見なければ話せる」

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