糖度高めな秘密の密会はいかが?
「ゆかりは何でそっちに座ったの?こっちに座ればいいのに…」

有澄は凄く機嫌が悪そうで、日下部さんの方は向かない。

「そうは行きませんよね、社内では"上司と部下"の関係ですものね」

「はい…」

多分、有澄の秘書さんだと思う方が、日下部さんには当たり前の様にコーヒー(砂糖とミルクなし)を出してくれた。

私と有澄の前には紅茶が出され、アールグレイの良い香りが広がった。

「秋葉さんがカフェでいつも飲んでいたアールグレイです。副社長が秋葉さん専用にと言っておりましたが…社内での浮ついた行動はお控えくださいませね、副社長」

「はいはい…小言は分かったから下がっていいよ、相良」

「かしこまりました」

秘書さんの名前は相良さんかな?

スマートな振る舞いの眼鏡をかけた男性で、年齢は日下部さんくらいだろうか?

「相良は全て知ってるから、聞こえても大丈夫だよ。本当は辞令が出た今日の夜に話すつもりだったけど…」

「うん、副社長の事は驚いたけど、社内でも会った事もあったし、今は全て繋がったから理解出来てる」

「さすが、俺のゆかり。賢くて可愛い」

「…何が俺のゆかり、だよ!」

「そう、だから仕方ないよね?」

「…失せろ」

お互いに一言、一言が気に入らないらしく、会話が成立していない。

兄弟喧嘩みたいでおかしくなってしまい、私は思わず笑った。

「あはは、兄弟喧嘩みたいですね」

二人共、今の会話を聞いて、きょとんとする。

「……みたい、じゃなくて、兄弟喧嘩だよ」

「え…!?誰と誰が…!?」

「有澄と俺は父親違いの義理の兄弟」

・・・・・・・・・。

フリーズ状態、思考回路がついて行きません。
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