糖度高めな秘密の密会はいかが?
「ゆかりちゃんと出かける約束したから浮かれていて確認しなかったんだけど…一緒に居た男の人って…」

香坂君は申し訳無さそうに尋ねてきたが、私は話を遮るように答えた。

「…あの人は部長です!!たまたま通りかかって、私の姿が窓から見えたから寄っただけです」

「そっかぁ、良かった!彼氏さんかと思ったから…何だか揉めてたみたいに見えたけど大丈夫?」

「ありがとう、大丈夫だよ。アレね、私には男っ気が無いとか言って来て、悔しいから『この後は男の子と出かけるんだからーっ』って啖呵切ってしまったの」

日下部さんの存在を否定するかのように淡々と言い放つ。

「そうなんだ…。ついでにもう一つ聞いていい?」

「うん…」

「ビール運んだ時に…部長さん?に大好きって言ってたから、気になってはいたんだけど…」

「あーっ!!アレは部長にじゃないのっ。香坂君のこ、と…。あっ、えっと…」

一気に酔いが冷めた気がする。

酔いに任せて何を口走っているのだろう。

「…ごめん、今の話は気にしないで」

「ゆかりちゃん、俺も大好きっ」

下を向いて目線を外した私に、香坂君は頬に軽くキスをした。

「今日はまだ、ゆかりちゃんと居たいな…駄目?」
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