糖度高めな秘密の密会はいかが?
むぅー。

お見通し過ぎて感じ悪い。

だいたい何で私ばっかり、雑用を押し付けられるんだろう。

企画開発部にはなかなか新人さんは入らないから、私と綾美は年齢では若い方だけどさ・・・日下部さんは私を自分の良い様に使い過ぎでしょ?

業務命令だから配るけれど、同期だからって、上司だからって都合良すぎ。

私は配布する前にパラパラとページを巡ると2ページに副社長就任のニュース、3ページ目には私のインタビューが掲載されていた。

スーツ姿の有澄・・・やっぱりカッコイイ。

私のインタビューは見たくないけれど、帰ってから有澄と一緒に見よう。

「ありがと。ゆかり、可愛く撮れてるね」

一人一人のデスクに回り、綾美にも配布する。

「それに…副社長、会社員にしとくの勿体ないな~。アイドルとかモデルでも通用するよね」

綾美にも有澄をいずれは紹介しようと思っていたが、仕事の件もあったし、中々紹介出来ないままだった。

名前は教えたが、顔を見たのは初めて。

ニヤニヤしながら私を見る綾美は、本当はもっと何かを言いたそう。

日下部さんのデスクまで話が聞こえたのか、

「秋葉、さっさと配って仕事しろ」

と言われて睨みつけられた。

日下部さんの声が響くと職場は静かになり、それぞれの私語も中断された。
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