糖度高めな秘密の密会はいかが?
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有澄は外から帰って来たばかりで冷えきった唇のまま、私に"ただいま"のキスをする。

「ねぇねぇ、見た?有澄のインタビュー」

「見たよ。…あんまりさ、自分のは見たくなかったけどね」

私はすかさず社内報を持ち出し、有澄が掲載されているページを広げて見せる。

私も自分のページは見たくないけれど、有澄のインタビューは何度も読み返した。

「隣のページにゆかりも載っててビックリしたよ。可愛く撮れてるね」

有澄のコートをハンガーにかけながら、2度目のキス。

「こんなに可愛くて、仕事も出来るのに職場恋愛した事ないなんて…。皆がゆかりの魅力に気づく前で良かった!」

「有…澄、コートがシワになっちゃうよ」

ぎゅうぅっとコートごと抱きしめられて、身動きが取れない。

「それから…副社長の件、仕事の件、ずっと黙っててごめんね。掲示板に辞令が貼り出されるまでは言えなくて…」

「うん、ビックリしたけど…会社でも考えあっての事だから今は冷静に考えられるよ。それより…」

今の流れで日下部さんとの関係を掘り返しても良いかな?

ごめん、有澄。

日下部さんとの関係の方が気になって仕方ない。

踏み込んで聞いてしまっても良いのかどうか迷う。

迷うけれど・・・真実を知りたい気持ちもある。

「もしかして、お兄ちゃんの事?」

私はコクリと頷き、有澄の顔を見上げる。

「お風呂に一緒に入る?」

「やだ、入らない」

「交換条件」

ハンガー付きのコートを私の手から奪いベッドに投げ捨ててから、強引に私の手を繋ぎ、お風呂場に移動する。
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