糖度高めな秘密の密会はいかが?
当日の朝にウェルカムボードを持って、有澄と一緒に展示場所を見に行く予定。

「ゆかり、私が結婚する時が来たらウェルカムボードお願いね。青系が良いなぁ」

綾美がウェルカムボードを見ながら、飾り付けてある造花に手を触れる。

「もちろん喜んで作ります!綾美と私、どっちが先に結婚するかな?」

「お互いにそろそろ良い歳だけど、仕事も辞めたくないよね?」

「同意見…」

私も綾美も仕事が楽しいから、結婚して出産後も仕事を続けたい。

けれども、産後に戻って来ても今のポジションに居られるかどうか不安なのだ。

総務課や広告デザイン課などでは保育時間に合わせて出社と退社をしている社員が居ると聞いた事はあるけれど、実際のところは分からない。

その時が来たら、高橋さんに聞いてみよう。

「杉野、また出歩いてるし!」

「ぶ、部長!?いつの間に!?」

外回りから帰って来て、何も言わずにしれっと職場に入って来る日下部さん。

「あ、ありがとうございます…」

綾美を横目で睨みながら、お土産らしき物を無言で渡す。

中身はドーナツで企画開発部全員に行き届く分は入っていた。

外回りに行った時は、たまにお土産を買ってきてくれるけれど・・・ドーナツ屋さんと日下部さんって似合わないな。

「秋葉、一人で笑いこらえてるみたいだけど何?」

「だって、日下部さんが一人でドーナツ屋さんに入って買ってきてくれたのかな?って思ったらおかしくて!」

「確かに!笑える!」

会話が聞こえた人達も思わず笑う。

「さっさと仕事しろ!GWの休みがなくなるぞ!」

日下部さんはバツ悪そうにデスクに戻り、ドサッと勢い良く座る。
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