糖度高めな秘密の密会はいかが?
どんな反応をするかは分からないけれど、私は胸に秘めていた事を伝えたので、これ以上は言うつもりもない。

先程の私に対する噛みつきはどこに行ってしまったのか、大人しくなり有澄の背中にしがみついて泣いている。

どうせ演技なんだろうけれど・・・。

「私ィ、メールとか身に覚えがないんで分からないんですけどぉ、副社長は本当に二股されてないんですか?秋葉さんて日下部さんといつもベタベタしてるんです。二股って思われても仕方ないですよ。
こんなにカッコイイのに副社長可哀想です…秋葉さんが大切にしないなら、私が奪っちゃいますよ?」

舌っ足らずな話し方で有澄に取り入ろうとしているわ、私の話は粗方無視だわ、この子の心には何も響く事はないのだろうから、もう諦めよう。

溜息をつきながら、少し離れた場所にいる夜警さんを見るとエレベーターに閉じ込められた日に助けに来てくれたの人に似ている。

・・・だとしたら、私と有澄の関係をしている多岐川さん、夜に二人で残業していた事を知っていたこの人が繋がる。

さっきもグルになって写真を撮り、あらぬ疑いを付け足してばらまく作戦だったのかな?

「積極的な女性は嫌いじゃないです」

「本当ですかぁ!日下部さんから本気で乗り換えちゃおうかな~?」

小悪魔的な可愛い笑顔を浮かべる有澄に対して、甘い声を出して誘惑しようとする多岐川さんに私は苛立ちを覚えた。

日下部さんが好きなんじゃなかったの?

「ただし、本気で俺を好きになってくれてる女の子が積極的に接してくれるのは大歓迎だけど、中身なんて関係なくて外見とハイスペックだけを求める女と…誰かに頼ってばかりいる女は

"論外"だから」
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