糖度高めな秘密の密会はいかが?
全部、私が悪いんだ。

隠し事はなしって決めていたのに、私が話そうとしなかったから。

私達の間にわだかまりがあるとしたら、日下部さんとの出来事だったと思う。

「…ずっと前に日下部さんに告白されたの。言わなくてごめん。でも、今日ちゃんとブラコンは卒業するって言って来たよ」

私はデスクの上から降りて、有澄を包むように抱きしめる。

「本当にごめん…」

心配かけてごめんなさい。

「…ゆかりが謝る事なんてないよ。単なる俺のヤキモチだから…」

罪悪感に苛まれた大きな溜息が聞こえる。

私にしてみれば、有澄がこんなにもヤキモチを妬いてくれる事は幸せな事だ。

愛されてるんだな、私。

「…大好きだよ、有澄」

耳元で囁いてから、耳にチュッと軽く唇を触れさせて、

「ケーキ食べよっ」

と言って有澄から離れてソファーに座る。

「……!?い、今のは不意打ち過ぎるでしょ!」

「いつもの不意打ちのお返しっ!」

頬がほんのり赤く染まっている有澄がブツブツと独り言を言っていたが、私は構わずにケーキの箱を開けた。

ベイクドチーズケーキが3個。

スフレの様なふわふわなチーズケーキでもなく、アプリコットジャムが上に塗られているチーズケーキでもなく、ベイクドチーズケーキを選んでくれた辺りが日下部さんが私を見てきてくれた証拠だ。

ベイクドチーズケーキが大好きな事、覚えていてくれたんだ。

日下部さん、ありがとう。

感謝しながらいただきます。

今日の外回りの話をしながら、有澄と一緒にケーキを食べて、あっという間に約束の30分は過ぎてしまった。

ヤキモチ妬いたままなのか、有澄は不服そうだったので、「仕事だからしょうがないじゃん」と反抗したら「分かってるけど!」と言いながらも膨れっ面は変わらず。
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