糖度高めな秘密の密会はいかが?
「サツマイモと小豆のきんつばです。ゆかりさんと一緒に作ったんですよ。手際が良くて、お料理も上手そうなので申し分ないお嬢様ですね」

「あっ、例の裏ごしがきんつばになった訳ね」

「左様でございます」

社長が感心した様に、サツマイモの裏ごししたものがきんつばになった話を聞いている。

裏ごししたサツマイモは茶巾にでもするのかな?と思ったら、きんつばにすると言われたので興味深く、お手伝いをするのが楽しかった。

「母さんは裏ごしも知らなかったし、料理も出来ないけど…ゆかりは毎日、料理を作ってくれるよ」

「まぁ、それは良かったわね。でも、有澄、毎日って…ゆかりちゃんに無理させて寄らせてるんじゃないでしょうね?」

「……それは否定出来ない」

「ごめんなさいね、ゆかりちゃん。有澄も寂しい子だから、かまってあげてね」

社長の言葉に一瞬ドキリとしたけれど、半同棲生活はバレなくて良かった。

私は言葉を発さず、微笑んでうなづいた。

話の合間にきんつばを食べてみると、サツマイモと小豆が絶妙なバランスで入っていて、程良く甘くて美味しい。

有澄は実家に住んでいる時は、毎日の様に美味しいものを食べていたんだろうと思うと、お料理を頑張らなくちゃ!と思わずにはいられなかった。

「彩子(あやこ)、そろそろ話したらどうだ?それとも、私から話そうか?」

お爺様が気を利かせて、話を軌道修正する。

「そうね…。これから大事な話をするわ。今後についてよ」

遠回りしてきた大事な話だったが、ついに明かされる事になった。

皆が静まり返り、社長は少しずつ話し出した。
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