糖度高めな秘密の密会はいかが?
「郁弥も私と同じで敷かれたレールが嫌いだから、いろはを無理に継いでとは言わないわ。
今、企画している新店舗から会社を設立して貰っても構わないと思ってるの。…だとすると、郁弥が継がない時は、ゆかりちゃんにお願いするしかないわね」
そう言えば、怪文書事件の時に有澄が何となく言ってた。
私がいろはの後継者になるなんて、その場凌ぎの言葉だと思っていたけれど、社長からの言葉で急に現実味を帯びる。
「その時は宜しくね、ゆかりちゃん。有澄と結婚しなくても、郁弥が手放すならゆかりちゃんに差し上げるわ。私、今でもゆかりちゃんが面接に来た時の事、思い出すの。二次面接時にデザイン画バラまいてしまったのよね…」
「そう言えば…そうでした…。あの時は大変な失態をお見せしてしまい…」
二次面接時の課題、"社長に直接、自分の考えたいろは雑貨のデザインを見てもらう"との事でプリントアウトしたデザイン画の入ったクリアケースを取り出そうとしたら、バッグの中の没デザイン画をバラまけてしまい、面接官は唖然としていた。
涙目になりながらかき集める私に、真ん中に座っていた社長が駆け寄り、一緒に拾って下さった時に没デザイン画を見た社長が「決めた、この子にするわ」って独断で決定した。
あの時、没デザイン画をバラまいてなければ、私は不採用だったかもしれない。
社長は本命のデザイン画より、没デザイン画の方を気に入っていたから。
巡り合わせって、いつどこでどうなるか分からないものだな。
「…秋葉は面接の時からそんな事ばっかりしてるんだな。今も鈍臭いのは変わらないけど…」
この後に及んで、この男はっ!
日下部さんは私にだけ聞こえるくらいの小さな声で言い、表情は変えないまま私をからかう。
今、企画している新店舗から会社を設立して貰っても構わないと思ってるの。…だとすると、郁弥が継がない時は、ゆかりちゃんにお願いするしかないわね」
そう言えば、怪文書事件の時に有澄が何となく言ってた。
私がいろはの後継者になるなんて、その場凌ぎの言葉だと思っていたけれど、社長からの言葉で急に現実味を帯びる。
「その時は宜しくね、ゆかりちゃん。有澄と結婚しなくても、郁弥が手放すならゆかりちゃんに差し上げるわ。私、今でもゆかりちゃんが面接に来た時の事、思い出すの。二次面接時にデザイン画バラまいてしまったのよね…」
「そう言えば…そうでした…。あの時は大変な失態をお見せしてしまい…」
二次面接時の課題、"社長に直接、自分の考えたいろは雑貨のデザインを見てもらう"との事でプリントアウトしたデザイン画の入ったクリアケースを取り出そうとしたら、バッグの中の没デザイン画をバラまけてしまい、面接官は唖然としていた。
涙目になりながらかき集める私に、真ん中に座っていた社長が駆け寄り、一緒に拾って下さった時に没デザイン画を見た社長が「決めた、この子にするわ」って独断で決定した。
あの時、没デザイン画をバラまいてなければ、私は不採用だったかもしれない。
社長は本命のデザイン画より、没デザイン画の方を気に入っていたから。
巡り合わせって、いつどこでどうなるか分からないものだな。
「…秋葉は面接の時からそんな事ばっかりしてるんだな。今も鈍臭いのは変わらないけど…」
この後に及んで、この男はっ!
日下部さんは私にだけ聞こえるくらいの小さな声で言い、表情は変えないまま私をからかう。