糖度高めな秘密の密会はいかが?
社長はそんな私達に気付いたのか、にこやかに微笑む。
「郁弥がいろはに応募してきた時も驚いたわ。入社してから社外で話をしたら、『会社を潰しに来た』って言われるし…。まぁ、私は恨まれても仕方ない存在だけど…。
今は聡明で冷静沈着だけど、当時はクソガキだったわね」
お茶を飲み干した後に紅茶が出されて、右手にティーカップを持ちながら語る社長。
日下部さんの昔話に会長ご夫妻も笑う。
「郁弥、花野井グループと有澄の手前もあって今までは堂々と会えなかったけれど、これからは気軽に来てくれて良いのよ。有澄も大人になったし、理解は出来てるハズよ。
郁弥にとっては虫の良い話かもしれないけれど…私達はまた郁弥と家族になりたいのよ」
お祖母様が申し訳なさそうに涙を流しながら、ハンカチを片手に日下部さんに向けて話す。
長い間、有澄は兄の存在を知らず、日下部さんは弟の存在を知っていて父親も了承の上、花野井家と接触していたらしい。
大きくなるに連れ、本人は祖父母や母親とは会わずに相良さんを通しての連絡になっていったそうで、実に25年ぶりくらいぶりにもう一つの実家に顔を出した。
「…こないだ、日下部さんと一緒に焼肉行ったんだ。ね?お兄様」
「…勝手に決められたから行っただけで、もう行くつもりもない」
「今更だけど、ケーキごちそうさまでした。ゆかりとの時間もいただけて、何よりでした」
「こちらこそ、最後に有意義な時間をいただけて光栄です」
ちょっと、ちょっと、有澄と日下部さんの会話が何だかおかしい。
丁寧に話しているけれど、ケンカ越しだ。
有澄、何か怒ってる?
「郁弥がいろはに応募してきた時も驚いたわ。入社してから社外で話をしたら、『会社を潰しに来た』って言われるし…。まぁ、私は恨まれても仕方ない存在だけど…。
今は聡明で冷静沈着だけど、当時はクソガキだったわね」
お茶を飲み干した後に紅茶が出されて、右手にティーカップを持ちながら語る社長。
日下部さんの昔話に会長ご夫妻も笑う。
「郁弥、花野井グループと有澄の手前もあって今までは堂々と会えなかったけれど、これからは気軽に来てくれて良いのよ。有澄も大人になったし、理解は出来てるハズよ。
郁弥にとっては虫の良い話かもしれないけれど…私達はまた郁弥と家族になりたいのよ」
お祖母様が申し訳なさそうに涙を流しながら、ハンカチを片手に日下部さんに向けて話す。
長い間、有澄は兄の存在を知らず、日下部さんは弟の存在を知っていて父親も了承の上、花野井家と接触していたらしい。
大きくなるに連れ、本人は祖父母や母親とは会わずに相良さんを通しての連絡になっていったそうで、実に25年ぶりくらいぶりにもう一つの実家に顔を出した。
「…こないだ、日下部さんと一緒に焼肉行ったんだ。ね?お兄様」
「…勝手に決められたから行っただけで、もう行くつもりもない」
「今更だけど、ケーキごちそうさまでした。ゆかりとの時間もいただけて、何よりでした」
「こちらこそ、最後に有意義な時間をいただけて光栄です」
ちょっと、ちょっと、有澄と日下部さんの会話が何だかおかしい。
丁寧に話しているけれど、ケンカ越しだ。
有澄、何か怒ってる?